プラスチックは大きく2種類に分けらさらに以下のように分けられます。
「人工的に合成された有機高分子物質を主原料として人工的に有用な形状に形づくられた固体である」と定義付けされています。
一度固まったら焼こうが、煮ようが形が変わらないもの
成形時に熱によって軟化し化学反応により固化する。その後加熱しても軟化したり融けないプラスチック。
バターやチョコレートみたいなもの
加熱すると軟化して加工できるようになり冷却すると固化する。また加熱すると軟化し繰り返し使用可のプラスチック。
汎用プラスチック | 熱変形温度100℃未満、引っ張り強さ500kgf/cm2未満、耐衝撃5kgf.cm/cm未満の特性。値段も安い。加工性が良い。 |
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エンジニアリング・プラスチック | 機械的強度や耐熱性に優れ、主に高い性能の求められる工業用部品などに使われる。耐熱性100℃以上。通常エンプラと呼ぶ。 |
スーパー・エンジニアリング・プラスチック | エンプラよりもさらい高い耐熱性があり(150℃以上)。値段も高い。 |
分類 | 材質名 | ||
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熱硬化性プラスチック | フェノール樹脂 | PF | |
エポキシ樹脂 | EP | ||
ポリイミド | PI | ||
ポリウレタン | PUR | ||
熱可塑性プラスチック | 汎用プラスチック | ポリエチレン | PEEK |
ポリプロピレン | PP | ||
ポリ塩化ビニル | PVC | ||
アクリル | PMMA | ||
エンジニアリング・プラスチック | ポリアセタール | POM | |
ナイロン | PA | ||
ポリカーボネート | PC | ||
ポリエチレン・テレフタレート | PET | ||
スーパー・エンジニアリング・プラスチック | ピーク | PEEK | |
ポリアミドイミド | PAI | ||
四フッ化エチレン | PTFE |
一般的にはアセタール樹脂、ポリアセタールと呼ばれる。
ポリアセタールは1960年Du Pont社がホルムアルデヒドの重合で出来ている「デルリン」(ホモポリマー)を開発したのが始まりです。その後Celanese社がトリオキサンとエチレンオキサイドの重合体でつくられる「セルコン」(コポリマー)を開発し、よってポリアセタールにはホモポリマーとコポリマーの2種類が存在します。尚、コポリマーの代表である「ジュラコン」は1960年後半に日本のPolyplastics社が生産したものです。
ポリアセタールは、耐クリープ性、耐摩擦・磨耗特性、耐疲労性などに優れ機械的特性をバランスよく保っています。ただ、難燃性はその使用する部位で制限されます。(分子中に酸素を有するため)また、ホモポリマーとコポリマーでも物性が若干異なります。
OA機器。家電(プリンター、キーボード、PCドライブ、洗濯機、掃除機)、AV機器(CD・MDプレーヤー、ヘッドフォン)自動車部品(ドアミラー、エンジンルーム)、精密機器(カメラ、時計)、日常品、文具、玩具。
ポリアミドとは構造中にアミド結合を持つ高分子化合物の総称で、一般的にナイロンと呼ばれているが元々Du Pont社の商品名。
1935年、米Du Pont社のウォーレス・カロザースが合成に成功したものです。種類はナイロン46、6、66、11、12などがあります。
耐熱性、耐薬品性、機械強度に優れているが、吸水性を有する為、寸法安定性に劣るという短所があります。日本で生産されるほとんどが6ナイロンです。
自動車部品(ラジエタータンク ・シリンダヘッダカバー・エアクリナー・キャニスターケース・冷却水ファン・ブレーキオイルタンク・パワーステアリングなど)電子・電気機器(コネクター、ハウジング、スイッチ)日用雑貨、フィルム、シート。
1956年にドイツのバイエル社で開発された樹脂。日本で生産開始されたのは1960年。ポリアミド、ポリアセタールと共に歴史の古い材料です。
軽量であり、耐衝撃性が特に強く、ガラスの200倍と言われています。その他透明性、 寸法安定性が優れています。しかし薬品耐久性はあまり良くなく、特にアルカリ剤、溶剤では劣化しることがあります。
自動車部品(パネル、室内灯、テールランプ)、光学関連(コンパクトディスク、光ファイバー)、航空機の窓、 医療機器、スポーツ用品(スキーゴーグル、ゴルフクラブヘッド)
四フッ化樹脂
テフロン(デュポン社)
PTFEは1938年プランケットに発見され、今でも様々な種類のあるフッ素樹脂でも代表的なものです。 当初は主に軍需用のシール材として用いられましたが、第二次世界大戦後には産業用として様々な用途に使用されるようになりました。
耐熱性、耐寒性、低摩擦特性、非粘着性などに優れた特性を持ちますが、特に耐薬品性に優れ他のフッ素樹脂やエンプラなどの材料に類を見ない特性を持っています。 PTFA以外のフッ素樹脂にはPFA、ETFE、ECTFE、PVDF、などが有り、それぞれ特性を持っています。
パッキン、ガスケット、バルブシート、継手、半導体関連製品。
1955年にイタリアのナッタが高密度ポリエチレン重合触媒を用いて製造可能であることを発表しました。 1957年にはイタリアで工業化され、その後各社でも工業化されました。
軽くて強いという物性から「夢の繊維」と見られていましたが染色性の悪さ、吸水性の無さが繊維として用いられることはほとんどありませんでした(靴下、スポーツウェアでの用途あり)。 樹脂としての特徴である軽量、耐薬品性、疎水性(乾きが速い)、電気絶縁性、リサイクル性(熱加工性)などには優れています。
家庭用の容器、おもちゃ、スポーツ用品、建築資材など多岐に渡り、フィルムでも建材用、包装用と広く用いられています。
アクリロニトリル (Acrylonitrile)
ブタジエン (Butadiene)
スチレン (Styrene)
の共重合合成樹脂。
1954年にアメリカで発明され、U.S.Rubberで初めて企業化されました。 日本でも1960年代に国産化し、今現在でも様々な用途でABS樹脂は使用されています。
アクリロニトリルが持つ剛性、耐薬性、耐熱性、ブタジエンが持つ耐衝撃性、耐寒性、スチレンが持つ成形性、 表面外観をバランスよく保った樹脂特性を有しています。 また二次加工も容易で、汎用樹脂とエンジニアプラスチックとの中間に当る材料と言われています。
自動車部品(ラジエータ、ドアミラー、グローブボックス、インストロメントパネル) 電気器具(テレビ、ビデオ機器、CDマガジン、把手、 リモコンケース、トレイ、キーボード、ハウジング) 雑貨(サーフボード、ヘルメット、スーツケース、便座、容器)
PEは低密度PE(LDPE)と高密度PE(HDPE)に大別され、LDPEは1933年イギリスのICI社で、HDPEは1953年ドイツの研究者が発見しました。
構造によって性質が異なりますが、基本的には化学安定性、耐候性、耐水性、耐薬品性、絶縁性などに優れ、プラスチックの中でも最も軽く、 工業用から日用雑貨品まで様々な用途に使用されています。 ポリエチレンは焼却時にNOx(窒素酸化物)や塩素などの有毒ガスを発生しないことから環境問題にも適した材料でもあります。
フィルム用途が最も多く、スーパーのレジ袋、ゴミ袋、農業用フィルムなどが挙げられます。その他、洗剤容器、シャンプー容器、水道用パイプ、バケツ、キャップなど。
19世紀末には発明されていましたが実用化されておらず、1973年にアメリカのPhillips Petroleum社が量産し、工業化が始まった。
耐熱性に優れ熱変形温度は260℃、連続使用温度でも200℃~220℃と熱可塑性樹脂の中でも上位にランクされています。 寸法安定性、耐薬品性にも優れ、特に比弾性、比強度は金属と同等とされています。 またガラス繊維を充填することで、さらに耐熱性、剛性、強度に優れた素材となります。ただ成形時にガスが発生すること、バリが出やすいことが短所といえます。
電気・電子部品(コンデンサー、トランジスター、コイル、モーターなど) 自動車(キャブレター、バルブ、ハロゲンランプ・ソケットなど)